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ピナ・バウシュ 夢の教室
2012-03-29 Thu 01:49


というわけで、興味にかられ
 
「ピナ・バウシュ 夢の教室」 鑑賞。
 
   夢の教室
 
やってる劇場が少なくて、渋谷のユーロスペースに朝10時半からの1回のみ上映っていう
 
厳しい制約の中、張り切って朝一から渋谷で鑑賞をしてきました。
 
 
ダンス未経験者の10代の若者が、週一回、1年を通して
 
ピナ・バウシュの「コンタクトホーフ」を稽古して、発表するという企画を追ったドキュメンタリー
 
 
3Dの「踊り続けるいのち」とは打って変わって
 
年齢がぐぐぐ~んと若くなって、ダンサーひとりひとりに若さという「美」を感じてしまった。
 
インタビューも素直で面白い。
 
平気で「ピナなんて知らなかった」とか
 
「演目の意味が全然わからなくて、面白いと思わなかった」とか
 
「できない」とか
 
素直に吐いてくれるんだよね、ここで俺はピナに対しての自分の素人感が

彼や彼女たちと一致して、、、「踊り続けるいのち」で置いていかれていた気持ちが
 
ぐぐ~んっと楽になって、肩の力が抜けた。
 
まだ男女とも異性に触れることにも慣れてなくて、そういうダンスをしていくことに
 
同時に、俺もドキドキできる感覚。
 
最初から練習シーンで始まるんだけど、指導する人が2人いて、どっちがピナだろうか??

写真で観ていた感じだと、こっちの人かなぁと迷いながら鑑賞していく。
 
分からないまま20分くらいして、ようやくピナが登場して
 
あれ???
 
教えてる2人の指導者は、ピナじゃないんかい!っていう驚きあり。
 
ピナは演出というか監修してるような様子で、最初の方と最後の方の練習を観て指導したという様子。
 
常時稽古しているのは、ジョー・アンとベネディクト・ビリエという
 
ピナの昔からの盟友という2人でした。
 
 
驚いたのは、もう完成された振付として存在してる「コンタクトホーフ」という作品を
 
フリをそのまま形にはめて教えている姿だった。
 
内的表現はあとから、という事なのかなぁと。
 
大人たちがやった演目を、子供たちがやるっていう凄い試み。
 
大人の、というか、中年以降の年代の服を、何も知らないまま子供が着るようなもの
 
いきなり服を着せるっていうアプローチ・・・。
 
でも、10代の子たちが、お互いを信頼しあって、指導者を信頼して、心を開いて行く様子
 
それが、演技(ダンス)にダイレクトにつながっていってるのを目の当たりにして
 
ああ、いいなぁ、やっぱそうだよなぁ、結局はそこから始まるよねぇって
 
妙に共感。
 
男女が椅子に舞台の端と端に座って、お互い見つめ合いながら服を脱いでいくっていうシーン
 
これも最初、抵抗してるんだけど、稽古を通じてかっこつけを捨てて
 
本番では、それを実行していくんだけど、
 
初々しくもあって、でも、コンタクト(コミュニケーション)をお互いが同時性にしていて
 
とても素敵だった。
 
 
前回の「踊り続けるいのち」の感想でも記載したけど
 
独りの女に対して多数の男が身体を触りまくるっていうシーンがあって
 
最初は男の優しさで始まったものが、複数の男に触れられていくうちに、、、
 
恐ろしく強姦を意味し始めて、大人バージョンとは違う嫌悪感を感じたし
 
彼女に同情すらしてしまう。
 
   触れまくる
 
大人バージョンは、というか年配バージョンは、痩せた年配の女性が、年配の男性に触れられるっていう
 
自分の親の世代の観てはいけない瞬間として、嫌悪感で、辛い。
 
今回の10代のそのシーンとは、逆に素直に耐えている姿がむき出しだし
 
触れる男たちも性の目覚めから興味があっての行動として、むき出しのだ。
 
素直に感じているものが、一生懸命さと同時に放出されているってう。
 
なんかすげぇ納得をした。
 
 
このシーンを練習している風景もあって
 
独りの女の子が男たちに膝から腰から腕から、太ももからお腹まで(もちろん大切なところはノンタッチだよ)

触れられているのを観ていて
 
本当に女の子は耐えながらも泣いてしまっていて、、、ゆさぶる。
 
しかも、その稽古を後ろからじーっと見ている他の女の子たちも恐怖を感じながら見つめていて
 
そうだよなぁ、、、きついよなぁって共感が渦巻いていた。 

いらない仮面がもはや、ないのだ。
 
    椅子の攻防戦
 
全員で動き出すエネルギーも圧巻で、技術や身体能力に頼ることなく
 
まっすぐ素直に向かうエネルギーの強さは、可憐さと狂気をまっすぐに魅せてくれた。
 
 
このダンス作品のフリ、行為の連続そのものに
 
コンタクト、し合う行為そのものに、自然に生まれる感情があったんだね。
 
だから、フリから入った稽古だとしても、自然にそこに辿りつくし

ゾクゾク感やドキドキ感があるのだ
 
新鮮に感じ続けること、があった。
 
 
経験を重ねた分だけ、大人の演技とは違うのは当然だが、本来もつ核がこちらの若者たちには
 
見受けられたような気がする。
 
それに、個性が、人が存在してる、というのをちゃんと思えた。
 
 
それで、それでね、なんか、ようやくピナ・バウシュが向かっていた演出や
 
ダンス、コンテンポラリーが受け止めることができたっていう
 
腑に落ちた、っていう。
 
よかったぁ、そうだったんだよね、そうだよねって圧倒をもらえた。
 
 
熱く、感想を書きなぐってしまったけども
 
両方を観れて良かった、と思ったよ。
 
心の解放、を昇華させる演技が観れたと、感動した。
 
コンテンポラリーというダンスのルーツなのか分からないけど、納得したなぁっていう。
 
 
俺がこれまで観てきたコンテダンス
 
数少ないけど鑑賞してきたコンテの作品は、このピナの真逆で、
 
心の解放ではなく、閉ざされた心と
 
身体能力の、、、身体の可動範囲合戦、あるいは小手先さを感じてしまっていたので

ちょっと抵抗があったんだけど

俺は出会ってなかったんだね、知らなかったんだね。
  
もちろん、身体がすげぇ動くってことはすげぇよ!うん!
 
 
「夢の教室」では、スーッと気持ちよく鑑賞に至った。
 
俺が好きな部分が、凄い観れたドキュメンタリーだったよ。
 
また、3Dの「踊り続けるいのち」を見直したいなぁ~なんて思えて来る。
 
LIVEとは違うけど、ある種体感した、今の状態で見直すと随分違って見えるような気がする。
 
 

興奮して2作品を追いかけて、何か楽しかったなぁ俺。

知りたいっていう興味。
 
足して2で割った作品を観てみたいなぁ
 
やはり、LIVEだとすげぇんだろうなぁ。
 
 
だから、舞台って、いいんだよね。
 
映像だと現場で起きているお客さんと共有する感情の渦まではなかなか起こり得ないからね。

 
演技と当てはまるところが存分にあって、そこも興味深かった。
 
「夢の教室」の方が、素人の俺にとっては良かったんだけど、これで知った気になっちゃ
 
アカンやろ・・・って、当たり前だ。
 
ダンス公演もいろいろ鑑賞する機会を増やしたいなぁ。
 
で、作品として、ダンサーを演出もしてみたくなってくる。
 
ダンサーには「何も知らないくせに」って言われそうだけどね。

 
※あくまで、個人的感想です。
 


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